ノトリイアス・ビー・エル・ジー『不明なアーティスト』を振り返る

先日、高円寺の円盤で行われた新間さんプレゼンツ「不明なアーティスト」がとても楽しかった。
初のソロでのライブだったわけだが、内容についてはあの場所にいた人だけが知っていれば良し!
今回ご一緒させていただいた池田若菜さんのライブはもちろん素敵でしたよ。内藤彩さんがサポートで参加。心の襞をそっと撫でるような木管楽器の響き、ずっと聴いていたいものですね。あの内容の音源を絶対作ってほしい。家でも聴きたい!
その後のトークも在りし日の部室を思い出すものでとても楽しかった。新間さんと、聞き手の柴崎さんは学生時代のサークルの先輩なのです。本当にあっという間に終わってしまったので、もっとやっていたかった。トータルで8時間ぐらいやりたかった。でもそんなことをしてしまったらお客さんとしてはたまったものではないだろう。
トーク中に若菜さんがレコメン系をレコメンドしたことから、「レコメン女子」というワードが生まれ、さらに「レコメン女子はモテない」という切ない結論に至って笑ってしまった。でも、レコメン周辺の、スラップ・ハッピーとかZNRとかアクサク・マブールとかけっこう乙女っぽいとこがあると思う。PCOと一緒に聴けるというか。まぁモテるかモテないかは置いておいて。「スラップ・ハッピーより断然アート・ベアーズのほうが好き!」って人がいたらそれはそれでかっこいい。
レコメンといえば、先日Crammed Discsのツイートで存在を知ったAquasergeというバンドがとても良かった。フランスのバンドで、読み方に自信がないが、カタカナ表記だと「アクワァセウジュ」といったところでしょうか。フランス語の発音について何も知らないのでそれっぽく読んでみただけです。もっと素直に「アクアセルジュ」のほうがきっとベター。
それで、彼らのアルバムがBandcampで配信されていたので早速購入してみた。A l’amitiéというアルバムと、Tout arriveという3曲入りのミニ・アルバム。Bandcampで初めて買い物したのだけど、さすがに「これこそがインターネットだ!」という頭の悪い感想を抱きましたね。だって「腹減った。飯でも食うかな」みたいな情報が跋扈しているのを目の当たりにすると「何じゃあ?」って思うじゃない。
それはさておき、彼らの音楽は、レコメン系というかチェンバー・ロック的な要素が強く、イタリアのピッキオ・ダル・ポッツォやアメリカのマフィンズの系譜に位置づけすることもできよう。思わずトン・ゼーを連想せずにはいられない、良い塩梅に褪色した極彩色の、粒子の粗い映像のようなムードもあったり、ミニ・アルバムに収録された曲ではトロ・イ・モアっぽいことやっていたりと、まさに文句のつけようがないタイプど真ん中の女性と出会ってしまいむしろ困惑してまうといった状態です。
ちなみに、中心メンバーの3人はそれぞれ、ステレオ・ラブ、テーム・インパラ、メロディーズ・エコー・チャンバーのサポートをしていたりするとのこと。後者二つの、ピッチフォークなどのメディアから評価されてそうなものについては、疎いのでどういうものなのかよくわかっていない。
他にもエイプリル・マーチとコラボしたアルバムもあるそうだ。後でダウンロードする予定。エイプリル・マーチといえば、タランティーノの「デス・プルーフ」のエンディング・テーマとしてもお馴染み、ゲンズブールのペンによるフランス・ギャルの「娘たちにかまわないで」のカバー。この曲はハネムーン・キラーズもカバーしている。これぞまさにフレンチ・コネクション。
Aquasergeは今年9月にCrammed DiscsからEPをリリースするそうだ。つい先日新曲のMVがアップされていたが、これがまた良くて良くて。チェンバー・ロック的な一面を保ちつつも、マルク・オランデルにリスペクトを捧げるトランスワールド感覚を携えたアヴァン・ポップっていうのですか。そう言ってしまうと途端に陳腐になってしまうけど。歌に切なさもあってとても良いですよ。EPではシャソールのカバーも収録されるとのことで、楽しみ。

ここで話を「不明なアーティスト」に戻したいと思います。
その日、トークの流れでこのブログについても言及していただいた。ブログのタイトルについて細かすぎて伝わりにくいところがあるようなので改めて説明したいと思う。
まずこのブログのタイトルは”Notoriious B.l.G.”です。”Notorious B.I.G.”ではないです。本物の”Notorious B.I.G.”とどこが違うのかというと、”Notorious”に”i”が足されているところと、大文字の”I”が小文字の”l”になっているところだ。”i”が一つ多いのは私が”torii”だから。”I”が”l”になっているのは”Blog”を略して”B.l.G.”としているから。読み方としては、「ノトリイアス・ビー・エル・ジー」が正解。わかりにくいダジャレでスミマセン…
ダジャレといえば、見りゃわかるんだけど、アイコンやこのブログのヘッダー画像もAutobahnのジャケと「鳥居と真っすぐな道」をかけたもので、「上手いね、こりゃどうも」と言わずにはいられないダジャレとなっております。もじりばかりやってますが、ええ。
再び「不明」の話に戻ります。
トーク中にかけた曲ですが、個人的に既出のものが多いので詳細は割愛します。キーワードとしては、「リズムボックス」「ブラコン」「パラダイス・ガラージ」「コンパス・ポイント・スタジオ」「アフロ・ファンク」ってとこでしょうか。改めて思ったのは「アップ・トゥ・デート」という尺度で自分の趣味をマッピングしても別におかしなところにはいないというか、むしろ真っ当も真っ当だということ。それにしては、何というか、こう、現実に対する手応えみたいなものが一切感じられず、なんだかなぁという想いをさらに強くした次第であります。でもそういうものに色気を出してうまくいったことなど今まで一度もなかったので、爽やかにネグレクトしていこうと思う。これでお互いさま。もはや両思いと言っても良いのではなかろうか。やるじゃん!ヒューヒュー!

 

リズム論のためのメモ

1. なぜスネアの音量を小さくするのか
まず今わたしたちが取り組もうとしていることは一つのループの中にどれだけダイナミズムを持たせられるのかということです。ダイナミズムは躍動感と言い換えることができるでしょう。決してAメロBメロサビ大サビというような長いタームにおける起承転結で聴かせようとするものではないです。念のため確認しておきます。
ハリウッドのアクション映画のような派手な爆発というよりは、同じ爆発でも、自動車のエンジンのシリンダー内部で繰り返し行われる小さな爆発のほうが好ましいです。力ずくで物をぶっ飛ばすのではなく、小さな力の連動で何か重たいものを動かしてみようという試みです。「北風と太陽」みたいな話ですが。
ダイナミズムについてです。
1小節ないし2小節という単位をビリヤードの台に、一つの音符をビリヤードの玉に見立てます。
ビリヤード台を行き交う玉の動きと玉の描く軌道の長さがダイナミズムとなります。例えば、同じサイズのビリヤード台を二つ用意し、片方に通常のビリヤードの玉を、もう片方にはボーリングの玉をそれぞれ16個拵えてビリヤードをやるとします。この場合、どちらの玉がよりスピーディで長い軌道を描くのか…ということを考えてみてください。その答えは言わずもがなでしょう。
小さい音というよりは小回りが利く軽くて硬い音といったほうがより正解に近いかもしれません。余韻が残る輪郭のはっきりしない音ではなく、アタックがはっきりしていて、さらに音の減衰が早いほうがより好ましいということです。
スネアに限らずベースの音に関しても、例えば「ブヨヨヨオオン!」という音よりも「ッボン!」というスッキリしていて輪郭のある音が今回の取り組みには適していると思われます。
休符はいうなれば、ボールが軌道を描くための空間です。ダイナミズムを表現するのに欠かせない要素なので、休符つまり音と音の間をしっかりとコントロールすることが重要です。さらに休符は、お手玉しているときにお手玉が手を離れて空中を舞っている状態のようなもので、決して静止ではなく、位置エネルギーと運動エネルギーを携えたものだと考えてください。
そして、一度空中に放たれたお手玉が重力に従って落ちてきたところをキャッチし、またすぐにぽんと放ってやるのがお手玉という遊びです。当たり前の話ですが、キャッチしなければそのまま地面に落っこちます。音に関しても一度鳴らした音はしっかりと自分でキャッチしなくてはなりません。例えばキックで空中に放ってスネアでキャッチするといった具合に。
お手玉をして大きな軌道を描こうとするなら、スピードをつけてお手玉を空中に放らなければなりません。楽器の演奏の場合も同じ要領で一音一音を早く美しい動作で、例え音価が短くとも伸びやかに発する必要があります。
音ゲーのようにしかるべきタイミングで音を出せば良いというものではありません。一音一音が歯車のようになって相互に影響を与え合うからこそリズムという大掛かりな装置が駆動するのだと私は考えます。
2. なんのためのシンコペーション?
わたしは日頃からギャルたちが踊ってくれたら良いなと思って曲作りに取り組んでいます。この際ギャルじゃなくても踊ってくれるのであれば誰だろうと構いません。しかしまあ、言ってみれば、人は皆根源的にはギャルではありますが…
「猫ちゃん大集合」では4拍目の手前、3拍目の四つの16分音符のうち最後の16分音符がスネアを鳴らすタイミングとなっています。これはいわゆるシンコペーションです。
シンコペーションにはどのような狙いがあるのか説明したいと思います。
ランニングをしている人に背後からこっそり近づいて服を掴んですぐに離したとします。そうすることでランニングしていた人は前方によろけると思います。電車に乗っていて急ブレーキがかかったときの動きと同じです。シンコペーションとは突然の急ブレーキのようなものだと考えてください。
踊りはただの直線的な上下運動ないし前後運動では単調だし、あまりセクシーではありません。シンコペーションによるよろける感覚は単調な踊りに対して刺激を与えて予定調和とマンネリを打破するものです。わたしがシンコペーションを多用する理由はそこにあります。
ランニングする人への嫌がらせ行為の例を続けます。ランニングしている人が、走ったり歩いたり立ち止まったりといったことを短い期間にランダムに繰り返していた場合、後ろから服を引っ張ったとしても、よほどタイミングが合わない限り、前へよろけてはくれないでしょう。この人には一定の速さで走っていてもらわないと困ります。ステディなビートを刻むことは一定のスピードで走ってもらうためのガイドを示すことと同じです。さらに、ステディなビートはシンコペーションへの誘い水となり、シンコペーションをより効果的なものにすると考えられます。
また、ステディなビートによって示されるガイドは、よろけた後の最初の一歩を安定させるためのものでもあります。そのまま転ばせてしまっては傷害事件にもつながりかねません。誰かに気持ち良くイタズラを受けてもらうためににはその後できちんとフォローする体制を整えておく必要があります。
「スイングする」とか「ハネる」といった感覚も、この「引っ張って離す」という動作に近いところがあると思います。また「スイングする」とか「ハネる」とは別に、個人的に「グルーヴ圧」と呼んでいるものがあります。ホースの先端を絞って水の勢いを強めるようなものです。その話はまた別の機会に。
3. そのフォルムのようなもの
次は一番言葉にしにくく、同時に一番の肝となる部分です。
譜面に書き起こすことができるフレーズやパターンと呼ばれるような音の連なりはリズムの表層にすぎないと考えます。
ホームページなどの「問い合わせフォーム」を思い浮かべてください。「問い合わせフォーム」は目的を果たすために機能するように作られています。見えている部分からは確認できませんが、裏側にはPHPやHTML、CSSなどで記述されたソースがあります。
あえて図式的に示してしまいますが、音楽の場合においても、何らかの機能を果たすために作られています。今回の取り組みにおいては「ギャルを踊らせること」がその機能となります。
フレーズやパターンを単になぞることは、問い合わせフォームの例で喩えるなら、イラレやパワポなどで見た目の部分だけをデザインするにすぎません。もちろん見た目のわかりやすさや美しさも大事ですが、メールアドレス記入欄に書かれた情報をデータベースに格納したり、送信ボタンをクリックしたら受付完了ページにジャンプするといった本来の機能を果たさなければ何の意味もありません。
では、音楽において問い合わせフォームのソースに当たるものは何なのでしょうか。これが一番難しいところです。わたしはそれをリズムのもつフォルムのようなものだと考えています。
フォルムは文字通り型のようなもので、円形だったり波形だったりするのかもしれませんが、何せ身体的な感覚に依るものなので具体的にこういうものだと指し示すことが難しいように思われます。
そのフォルムのようなものは、それぞれの民族の営みの中で育まれてきたものでしょうが、程度の差こそあれ、部外者が後天的に会得することも可能であると考えます。音楽を聴いていてふと「鉄棒の逆上がりできた!」「補助輪なしで自転車に乗れた!」といった感覚に似た、思わず会得したぞと感じずにいられない瞬間が訪れたことがあります。リズムが表す波長に自分の体の動きがぴったりはまった瞬間といいましょうか。この経験は少なからず演奏に反映されるものだと考えます。
リズムに波長を合わせようとするとき、わたしの場合は、モノの本に書かれていたことを参考にして、拍のオモテで首を前に突き出し、ウラで引っ込める動きを繰り返します。その際、ドラムを例にとるなら、まずキックの音が首と頭の境目あたりに、スネアの音が鼻の奥から頭頂部にかけて共鳴していることを意識します。共鳴を意識することで身体が触媒となり、各楽器の発する一音一音が伸縮する様がイメージできると思います。
この前後運度を行う際に、首あたりから身体中に伝播していくときのうねりのようなものを波形として捉えたものがフォルムであると言って良いかもしれません。
リズム・パターンにはそれぞれ固有のフォルムがあると考えます。そして、フォルムはフレーズに先立つものであるとも考えます。ここはあえてフレーズはフォルムが表出した一部分に過ぎないと言い切ってしまいます。地中に埋まった根の部分も含めて一本の木ということです。根は木の自立を支える上でなくてはならないものです。
フォルムをおざなりしたまま曲の練習することは、あわよくばツールドフランスに出場しようと考えている人が自転車の乗り方を覚える前にひたすらエアロバイクで足を鍛えるようなものではないのかと近頃心配になり、今回このように文章にして確認してみました。
例えばカウントを取る時点でその曲のもつフォルムを示していてほしいわけです。ただ静止した点が4つあれば良いというものではないように思います。このあたりはパーカッション奏者の浜口茂外也がインタビューで語っているので読むと参考になると思われます。
http://topic.auctions.yahoo.co.jp/music/guitarlabo/hamaguchi/hamaguchi02/
個人的には音楽を聴いていてこのうねりのようなものに身を委ねているときが一番心地良いです。どうにかこのうねりのようなものを自分でも演奏して表現できないかと思っています。
ここから先はもうなんと言って説明して良いのかがわかりません。下手な根性論やオカルトめいた繰り言でごまかしたくはありませんが、もはや「フォースを使え。感じるのだ。」という他ありません。この前送った「研究用音源」を聴いて参考にしてみてください。
ライブを見て「ジェットコースターのつもりで期待して乗り込んでみたら、椅子の背もたれの部分が肩たたきやマッサージをしてくれただけだった…」なんてことを言う人もいるかもしれませんが、まあ仕方がないことですね。帰り道に、なんか体がポカポカするな、なんて思ってくれたら良いですけど…
https://www.youtube.com/watch?v=sHtai7OprAA

 

Music Voyage DJ (June 7, 2016) ピーターバラカン×鳥居真道

去る6月7日、cafe 104.5で行われた『Music Voyage DJ』にお越しいただいた皆様、誠にありがとうございます。予約の電話をかけてみたら既に満席だったという方もいたそうで、申し訳ございませんでした!
このイベントの内容を申しますと、ピーター・バラカンさんと不肖鳥居がDJとして、卓球のラリーのように一曲ずつ交互にかけていく「バック・トゥ・バック」で進めるというものです。お題も決めず、出たとこ勝負で一曲一曲かけていきます。
今回はそのB2B(企業間取引に非ず!)の様子を記憶を頼りにダイジェスト的に書いていきたいと思います。記録として。
私が人気者であれば有志の方が書き起こしてくれるのでしょうが…そんなことはまずあり得ないので自分でやっていきたいと思います。どうですかいじらしいですか!涙がちょちょ切れんばかりですね…
当日メモはとっておらず、さらに後半に進むにつれて酔いが回ってかなり良い感じに仕上がっていきましたので、記憶違いもあるかとは思いますが、何卒ご容赦いただけますと幸いです。間違いなどあればもちろん責任は私にあります。念のため。
それでは早速いってみましょう。
最初に開始の挨拶をしまして、その次に先攻後攻を決めるじゃけんをしました。ピーター・バラカンさんとB2Bをやるというのはもちろん得難い体験ですが、じゃんけんするのもなかなかに貴重な体験ではありませんか!それはさておき、じゃんけんした結果、ピーターさんが勝ちまして、ピーターさんの選曲からスタートなりました。

1. Georgie Fame “Ali Shuffle” (PB)

6月3日にモハメド・アリが亡くなったことを受けて、ピーターさんはこちらの曲をご紹介されました。“Ali Shuffle”とはアリ独特のダンスするような動きを表したものだそうです。

2. Mighty Sparrow “Sparrow Dead” (MT)

モハメド・アリに関する曲が手元にありませんでしたので、どうしよどうしよと思案して、“Ali Shuffle”がカリプソ調だったことから、こちらを選曲しました。

3. Eddy Grant “Don’t Back Down” (PB)

マイティ・スパロウの音源をコンパイルして発売しているアイス・レコードというレーベルがあります。そのオーナーはイコールズというバンドをやっていたエディ・グラントという人です。その人のソロ音源からこの曲。モハメド・アリのドキュメンタリー番組のテーマだそうです。ピーターさんは「このサックスを吹いているのは誰でしょう?」というクイズをお出しになりました。

4. John Zorn “Lonely Woman” (MT)

クイズの答えは「オーネット・コールマン」でした。そこでジョン・ゾーンによるオーネット・コールマンのカバーを。ピーターさんはジョン・ゾーンの楽屋を訪問したときにフレッド・フリスに叱られたことがあるという凄まじいエピソードを披露されていました。

5. Baby Face Willette “Willow Weep for Me” (PB)

あるジャズ雑誌の特集で「私の選ぶ一枚」というような企画があったそうです。その選者の中で日本人でなかったのはピーターさん以外にはジョン・ゾーンだけで、彼が選んだ一枚というのがベイビー・フェイス・ウィレットのアルバムだったとのことです。ピーターさんはこの曲を自分がDJを務めるラジオ番組のオープニング・テーマにしていたそうです。

6. James Brown “Funky Drummer” (MT)

ピーターさんの番組テーマ曲つながりでこの曲。Viewsicで放送されていたPBS(ピーター・バラカン・ショー)のテーマであります。

7. Maceo Parker “Chicken” (PB)

会場のcafe104.5は南青山のジャズ・クラブ、ブルーノート東京の系列店です。ピーターさんが初めてブルーノート東京で観たライブがJBのバンドで長年サックスを務めたメイシオ・パーカーのライブだったそうです。

8. Hirth Martinez “Nothin’ Iz New” (MT)

JB関連を続けようか、はたまた”Chicken”つながりでミーターズの”Chicken Strut”をかけようかと考えましたが、”Chicken”を聞いているとなぜか頭の中でハース・マルティネスの”Nothin’ Iz New”の低音ドゥーワップコーラスが流れてきたので、リズムが似ているという理由からこちらの曲にしました。

9. Captain Beefheart & His Magic Band “Abba Zaba” (PB)

ハースの歌声を聴いていると、ビーフハートの声を思い出すそうでこちらを選ばれていました。無名時代のライ・クーダーが参加とのことです。ピーターさんより「鳥居さんのギターを聴いてマジックバンドにいてもおかしくないと思いました」とのお言葉をいただきました!

10. Mallard “Back on the Pavement” (MT)

マジックバンドつながりで、マジックバンドのメンバーによって結成されたマラードから一曲選びました。

11. Laurie Anderson “Excellent Birds” (PB)

“Mallard”とは「マガモ」のことだそうで、「鳥つながり」からこちらの曲。ピーター・ガブリエルが参加しているとのことです。

12. Ryuichi Sakamoto “Riot In Lagos” (MT)

“Excellent Birds”を聴いて「ビル・ラズウェルが絡んでそう…」と思ったので、当てずっぽうでMaterialでもかけようかと考えましたが、あまり強い動機にならず、雰囲気が似ているという理由で、こちらの曲を「ぶっ込んで」みました。

13. Matumbi “The Man In Me” (PB)

ピーターさんはYMOと仕事するようになったきっかけをお話しされて、「B-2 Unit」に参加したデニス・ボーヴェル関連でこちらの曲を選ばれました。なんとデニス・ボーヴェルのモクモクしたスタジオを訪れたことがあるそうです。

14. The Slits “I Heard It Through The Grapevine” (MT)

デニス・ボーヴェル関連で。マーヴィン・ゲイのヒット曲のカバーであります。

15. The Flying Lizards “Money (That’s What I Want)” (PB)

「モータウンをカバーしたニューウェーブ」が続きまして、こちらの曲です。

16. The Trashmen “Money (That’s What I Want)” (MT)

“Money”のやりとりで、別のバージョンを。”Surfin’ Bird”でおなじみトラッシュメンによる演奏です。

17. Boukou Groove “Stay Broke” (PB)

お金がほしいのはなぜか。お金がないからからだ。ということで、お金がない状態を意味する”broke”にまつわるこの曲でした。

18. 大瀧詠一 “びんぼう” (MT)

お金がない曲が続きまして、大瀧詠一の一枚目のアルバムから「びんぼう」です。鈴木茂のギターが聴きものです。

19. Little Feat “Two Trains” (PB)

鈴木茂のギターにローウェル・ジョージを感じるとのことで、Little Feetの名曲を選ばれていました。

20. Lowell George “I Can’t Stand The Rain” (MT)

続いてローウェル・ジョージのソロアルバムから、梅雨入りしたのでアン・ピーブルズのカバーであるのこの曲を選びました。

21. Allen Toussaint “What Do You Want The Girl To Do?” (PB)

ローウェル・ジョージの唯一のソロアルバムの冒頭を飾る”What Do You Want The Girl To Do?”の原曲であり、作者アラン・トゥーサンの自演バージョンです。他にもボズ・スキャッグスやボニー・レイットがカバーしているそうです。

22. Alex Chilton “Lipstick Traces” (MT)

アラン・トゥーサン〜ニューオーリンズつながりで、ベニー・スペルマンの名曲をアレックス・チルトンがカバーしたものを流しました。

23. Chris Farlowe “Handbags And Gladrags” (PB)

“Lipstick Traces”を取り上げたことのあるクリス・ファーロウ。この曲はロッド・スチュワートにカバーされたそうです。

24. Cher “For What It’s Worth” (MT)

“Handbags And Gladrags”を聴いてサザン・ロック的な趣を感じたので、シェールのマッスル・ショールズ録音のアルバムからバッファロー・スプリングフィールドのカバーをかけました。

25. Etta James “I’d Rather Go Blind” (PB)

マッスル・ショールズが続きましてエタ・ジェイムズの名曲です。

26. Arthur Alexander “Rainbow Road” (MT)

さらにマッスル・ショールズが続きます。最後の一曲でしたので、スローな名曲をしみじみ聴こうではないかということで。ダン・ペンのペンによる名曲です。このとき「お蔵入りになったアルバムが後から発表された」という誤情報を流してしまいました。どうもすみませんでした。
ここでまさかのアンコールを求める声がかかりました!

27. Dan Penn “Nobody’s Fool” (PB)

続いてダン・ペン本人による歌唱です。1973年に発表したソロアルバムから。

28. The Flying Burrito Brothers “Do Right Woman” (MT)

ダン・ペンの曲が続きます。少し趣を変えてフライング・ブリトー・ブラザーズによる”Do Right Woman”。

29. Aretha Franklin “I Never Loved A Man (The Way I Love You)” (PB)

アレサ・フランクリンによる”Do Right Woman Do Right Man”はシングルのB面でした。A面はこの曲。

30. Steely Dan “Hey Nineteen” (MT)

続いて「ソウルの女王」アレサを知らない19歳の娘さんと飲んでいる壮年と思しき男性が主人公のこの曲です。

31. Aretha Franklin “Rock Steady” (PB)

オバマ曰く「DJをするなら一曲目にこの曲をかけなくちゃね」とのことです。ニューヨークの手練れたちによる最高の演奏です。

32. Leon Ware “Body Heat” (MT)

最後の曲です。お客さんから「踊れる曲かけて〜」とのリクエストがありましたので、この曲でお開きとさせていただきました。ベースを弾くのは”Rock steady”と同様、チャック・レイニーです。
以上です。
ピーターさんには私の拙い返しを丁寧に拾っていただいて、本当に感謝しても感謝しきれない思いでございます。音楽を紹介されるところを間近で聞いていて、改めて敬服する他ないなとしみじみ感じました。今回、がっつりB2BするのもDJ中に声を出して曲を紹介するのも初めてのことでしたがとても楽しかったです。また機会のあることを願って。
例のごとく一曲ずつYouTubeに上がっているかどうか確認したら、ハース・マルティネス以外は上がっていました。気になった方は聴いてみたら良いと思います。
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